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車いすの生意気女 -第2話-【ピーターパン症候群の男と車いすの女】

投稿日:

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-古びた商店にて-

「………」

俺は突然の来店者に驚きを隠せず空いた口が塞がらなかった。
いや、ウチは物を販売してる商店なので本来そんなに驚くべきことではないのだが…
ただ…『車いすに乗った見慣れない白ワンピースの女性』の来店は俺にとって初めてのことだったので正直その来店者に目を奪われてしまった。

歳は大体俺と同い年くらいだろうか?
容姿から言ってあまり少女とも言い難い恰好や雰囲気をしている。
髪の毛は少し青みがかかった黒髪に、腰まで伸びた艶やかなロングヘアー。
日差しが強い初夏の季節だというのに、その日光さえ透き通らせてしまうような美白肌。
スタイルは全体的にか細いラインをした体型ではあるが、特に不健康さを感じないスッキリとしたモデル体型をしている。
麦わら帽子を深く被っているため顔はよく確認できなかったが、おそらく俺の見立てではかなりの美人であることには間違いない。
車いすでの来店にも驚いてはいるが、どちらかというと俺は彼女のその美貌に不覚にも見とれてしまっている方が強かったのかもしれない。

 

「……ちょっと、あなた」
「………」
「ねぇ、あなた店員でしょ!!私の話が聞こえないの!?」
「…へっ?」

 

俺は彼女につい見とれてしまってたため、彼女からの呼びかけに反応が遅れてしまった。

 

「あ、ああ…す、すいません。どうしましたか?」
「…あれ取って欲しいんだけど?」
「へっ?あれと言いますと」
「………」(スッと彼女が商品棚の最上段に指を指す)
「…もしかして…これですか?」

彼女が指を指した先は、商品棚最上段の箇所だった。
そしてそこに置いてあった商品。
それは…女性用の10枚入りナプキン袋だったのだ。

「…こちらの商品でしょうか?」
「ええ、そうよ。私あの場所だと手が届かないから早く取ってちょうだい」
「…分かりました」

俺は少々彼女が指定した商品を手に取るのに抵抗があったが、これも一応商売であるためお客の要望にはできるだけ答えなければならない。
だが…車いすに乗っているから致し方ないこととは言え、普通うら若き女性が男性店員の俺にこんな堂々と女性用のナプキンを取ってくれと頼むか?
多少は女性の恥じらいを見せながら頼んで欲しいものだ。
見た目は非常に可憐で麗しい雰囲気を醸し出してるが…見た目とは裏腹に性格や口調は正反対だ。

 

「…はい、こちらでよろしかったでしょうか?」
「まったく、客が取ってって言ってるんだからさっさと取りなさいよ!どんくさいわね!」
「…すんません」

 

前言撤回、この女マジで可愛くねぇ。
大体この傲慢な態度は一体何なんだ?
客だからと言って俺はお前の召使いじゃないんだぞ?
なんらかの事情で車いすに乗っていることはお察しするが、もう少し労働者への敬意を持って頼み事をして欲しいものだ。
俺だって好きでこんな仕事をやっているわけではないというのに…マジで胸糞が悪いぜ。

 
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「さてと…それじゃこれお会計よろしく」
「はいはい、分かりました」
「はいは一回でいいのよ?学校で習わなかった?」
「…はい、失礼しました」

 

-レジを打つ音-

 

「商品が一点で300円になります」
「300円ね。それじゃこれ使える?」

 

-カードを出す音-

 

彼女は自分の財布から青色のクレジットカードを取り出して俺の前に提示してきた。

 

「…あの…すいませんがウチの店クレジットカード支払いができないんですよ。現金でお願いできますか?」
「はぁ!?今時クレジットカードも対応してない店がこの世に存在するの!?」
「すいません、ウチの店ロートルな客人が多いものなので」
「ホントどこまでも使えない店ね!!」
「………」

 

まあ、俺もそれは思う所もあるので別に反論はしないでおこう。
ただやはりもう少しこの女は立場というものをわきまえた方がいいと思う。
クレジットカードを取り扱うかは店側の都合なので、客であるこの女がそれに腹を立てるのは少々お門違いだと思うのだ。
ウチは片田舎の小さな商店にしか過ぎない。
クレジットカード決済を導入した所でそれを使う町民はほとんどいないのだ。
地方の田舎民にキャッシュレスの文化は行き届いていないため、みんな現金主義の超ローカル集団なので導入する意味はあまりない。
まあ、この女は見慣れない顔だし、田舎文化がよく分かってない所を察するに、都会から来たどこかの家の孫娘といった所だろうか?

 

「それじゃ後でお金は持ってくるから、これは一時的に持っていくわよ」
「お客さーん、それは普通に窃盗と一緒ですよ?」
「後でお金持ってくるって言ってるでしょ!今私現金持ってないの!」
「そうですか、それじゃお金を取りに戻ってからまたご来店いただけますかねぇ?」
「…こっちは客よ?」
「客か店員か以前に金を払わなかったら商品が持ち帰れないってのは社会的に当然のことだと思うんですけど…」
「………」
「…まあいっすよ。そんじゃ住所と名前だけ教えてもらえますか?そしたら後で払いに来てもらって構わないんで」
「なんで初めて会ったあなたに個人情報なんて教えなきゃいけないのよ?あんたに個人情報教えるくらいなら家までお金取りに行った方がマシ!」
「あー、そっすか。それじゃ待ってますんで」
「………」

 

-車いすの音-

 

納得が行ってるわけではなさそうだったが、一応俺の言ってることに筋が通っていたため、言い返すこともなく無言で彼女は店から出ようとした。
俺も車いすに乗っているお客に対し少々キツイことは言ってしまったかもしれないが、どんな者であろうがここは社会の規則に則ってもらうのが真の平等というものだろう。
一応こっちだって譲歩はしたんだ。
それが受け入れられないというのなら後は相手の判断に任せるしかない。

 

「……ねぇ、あんた?」

 

彼女は店を出る一歩手前で立ち止まり、俺に話しかけながらこちらを振り返った。

「なんですか?」
「あんた…あたしがナプキンを指さした時…ちょっと戸惑ったでしょ?」
「…ええ、男性からしたら日常生活を過ごす上で無関係の商品だったので…多少は…」
「………」

 

彼女は深く被っていた帽子を頭から外し、俺を見下したような目をしながらこんな捨てセリフを吐いてきた。

「あんた…ガキね」
「…はっ?」

 

-車いすの音-

 

彼女は俺に対し蔑むような捨てゼリフを放ち、彼女は店を去っていった。
ま、俺的には口論で言い負かされたのが悔しくて最後の最後で放った負け犬の遠吠え程度にしか思ってないが。
それに俺はガキで結構。
オトナになんかなりたくないと思っている俺にとってはむしろ誉め言葉だ。
ま、あの女がいけ好かないのには変わりないがな…

 

ただ一つ俺が気にくわなかったことと言えば…帽子を脱いだあの生意気な女の顔が…

そこら辺の女優やアイドルよりも抜群にキレイでモロ俺の好みだったという事実が…俺は一番気にくわなかった。

つづく


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執筆者:


  1. フードラ より:

    そういう女性苦手だわ……
    顔はともかく

  2. 匿名 より:

    そういう性癖ですね分かります

  3. いやぁそういう性格ちょっと苦手です
    これからも頑張って下さい
    応援してます!

  4. 匿名 より:

    すごい

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