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幼馴染の本屋の女 -第4話-【ピーターパン症候群の男と車いすの女】

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-店のドアを開ける栄太-

「……あつっ。まだ6月だっていうのになんだよこの暑さは…温暖化進みすぎだろ」

翌日、俺は初夏の猛暑日だというのに自宅のドアを開け、外に出た。
理由は本日俺の母親が店に1日中いるので、俺はあの女の小言を聞きたくないがために逃げ出すように外出することにしたのだ。
ま、ほぼニートの息子に対して小言を言いたくなる気持ちも分からんでもないが…正直その小言を言われた所で俺の中で何か変化が起きるわけでもないのでただただ疎ましいだけだ。
本日は猛暑日ということもあって自分の部屋でダラダラ寝るか、ネットサーフィンでもしてたいと思っていたのだが…

 

「はぁ…仕方ねー。町内役場の図書館でも行こうかな。あそこならクーラーもついているし、最近は誰も利用してない無駄なPCコーナーまで出来たから暇をつぶす程度にはなるだろ」

 

-商店街を歩く音-

 

そんな独り言をつぶやきながら俺は自宅を後にして商店街の道を突き進む。
俺は日常的にこんな一人で暇を持て余す生産性のない生活を続けている。
一応学生時代の友達もいなかったわけではないのだが、皆高校を卒業すると同時にほとんどの者はこの町を離れどこか遠くの町へと就職していってしまう。
ま、こんな町に就職先なんてほぼないに等しいからそれも当然と言えば当然なのだが。
何人かは町の役所や郵便局員、実家の家業を継いで仕事をしている者もいるが、みんな俺とは違って立派な社会人をやっているので暇人な俺と昼間から遊ぶなんてことはしない。
ま、俺自身も別に人とツルむのは好きじゃないからわざわざ自分から誘うこともしないのだが…。

念のために言っておくが俺は仕事をしてないわけではない。
週2くらいで日雇いの派遣アルバイトくらいはやっている。
わりかし時給もいいので1回バイトに入れば8000円~1万円ほどはもらえるので実家暮らしで贅沢さえしなければ別に生きていけなくはない。
一応保険関係も親の扶養に入っているため俺自身に税金が発生することもないし、特に今の暮らしに不満があるわけでもない。
できるならずっとこのまま俺は子供のままでいたい。
オトナになってこんな猛暑日に毎日汗だくになりながら仕事をするなんてまっぴらごめんだ。

 

「あ、栄ちゃん!」
「…ん?」

 

俺は商店街を一人歩いていると、突然商店街の一角にある書店の中からとある女性に声をかけられた。

「ああ、なんだ『芽衣子』か?なんか用か?」
「なんだとは失礼な。今日はお仕事お休みなの?栄ちゃん?」
「一応な。ま、週2程度のバイトしかしてないからほとんど暇な日々を過ごす生活を送ってるんだけどな」
「もう…栄ちゃんダメだよぉ。もう二十歳になったんだからちゃんと仕事しなきゃ」
「週休5日制の月収50万もらえる仕事があるなら俺だって喜んでそこに就職するさ」
「そんな仕事なんてあるわけないでしょ。人生そんな甘くないよ」
「はぁ…なんでこんなに人生ってハードモードなんだろうな…自分の希望を叶えてくれる職場がないなんて俺は不幸なのかもしれない」
「栄ちゃんの希望が高すぎるんだよ。それなりに仕事して普通にお給料もらえたら人生ノーマルモードくらいにはなるよ。栄ちゃんのお母さんだって心配してるんだからもっとしっかりしなきゃダメだよ?」
「………」

俺のことを栄ちゃんと呼ぶこのメガネをかけた地味な女性は、この商店街にある『金谷書店』の若き経営者、『金谷芽衣子』という名の女性である。
彼女も俺と同様、この田舎町出身の俺と小中高一緒の学校に通った同い年のよく俺にお節介を焼いてくる幼馴染だ。
俺の親と一緒でこうやって俺が就職しないことに関してちょくちょく注意をしてくる。
幼馴染と言えど結局は赤の他人なんだから、正直ほっといて欲しいものだが…
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ちなみに先ほど俺は芽衣子は経営者だと言ったが、元々この金谷書店は芽衣子のじーさんが経営していた本屋なのだ。
そのじーさんが彼女の高校卒業時期に心不全で突然亡くなってしまい、この本屋もそれをきっかけに潰す予定だったらしいが…
学生時代からずっと本が好きだった孫娘の芽衣子が本屋を潰したくないという理由で、高校卒業したと同時にじーさんの本屋を継いだというわけだ。

まあ、この廃れた商店街の一角にある書店を運営してるだけではウチと同じで売上げもそんなに上がってはいないだろう。
と言っても芽衣子自身もこの商店街の看板娘として、町のおじさんおばさんどもに非常に可愛がられてるためなんとか店が成り立っているようだ。
芽衣子の両親も共働きで別の職場で稼いでくれているため、家族全体で見れば十分すぎるほどの生活はできている。
ま、売上げは立っていないとはいえ、彼女もこの町で立派に働くオトナの女性だ。
俺とは違う次元に存在する幼馴染と言った所だろうか…。

 

「…なあ、そういえば芽衣子。お前昨日ここら辺で車いすに乗った白いワンピースの若い女性を見なかったか?」
「え?車いすの女性?あー、そういえばそんな子が昨日商店街に来てたわね。若い女性なのに車いすに乗ってて目立ってたからよく覚えてるわ。昨日栄ちゃんの店に入ったところもバッチリ見たよ」
「なんだ見てたのか。まあ、それはいいとして…あの子ってどこかの家の子なのか?」
「うーん…どうだろう?私は今まであんな目立つ子見たことなかったなぁ…帰省でどこかの家で帰ってきてるなら一度くらいは私も見たことあると思うし、その車いすの子を見た町内会の人に聞いても誰も知らないって言ってたよ」
「…なるほど。それじゃここら辺の子じゃないってことなのか?」
「そうかもしれないけど、単純にこの町に引っ越してきただけなのかもしれないし何とも言えないかな?」

 

いい意味でも悪い意味でも町内の情報ならすぐに出回る田舎ネットワークを以てしても彼女の正体を知る人はいないということか。
芽衣子の言う通りこの町に引っ越してきた新参者という線が濃厚だが…なんだってこんな辺鄙な田舎町にあんな女性が越してくるんだ?
ここら辺は舗装されていない道や坂道もそこそこ多い地域だから、車いす生活には全く適してないと思うんだが…
考えれば考えるほど彼女に対する謎が深まるばかり。
ここら辺に住んでるとしたらまた出くわすこともあるかもしれんが…
俺はなんだかあの子のことが気になり始めてきたため、芽衣子にこんな質問をしてみる。

 

「なあ、芽衣子。お前その女の子が俺の店を出た後、どっちの方角へ向かって行ったか覚えてるか?」

つづく


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  1. こんなに可愛い幼馴染が居るとか恵まれてるなぁ。

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