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気になる男 -第5話-【ピーターパン症候群の男と車いすの女】

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-田舎道を突き進む栄太-

 

「はぁ、はぁ…たくっ…マジで暑すぎだろ。ほんとにこれ6月なのかよ…」

 

俺は商店街から離れ、補装がもう10年以上もされていないであろうひび割れたアスファルトの田舎道を一人突き進む。
周りには田んぼや自然の木々が広がり、6月だというのにセミの鳴く声までどこからか小さく聞こえてくる。
今日の気温は30度を余裕で超えているため、普段インドア派な俺にとっては灼熱の地獄にさえ感じた。
だがそんな俺がこんな猛暑日にこんな物影もない道路を一人突き進む理由。
それは…あの女が住んでいるであろう家を一人探し求めていたからであった。

先ほど俺は商店街で芽衣子と会い、あの車いすの女が昨日どちらの方面へ向かって帰って行ったかを聞いた。
そしたら駅や中心街とは真逆の方向の何もない無数の田んぼが連なる田舎道の方へ向かったと聞いたため、俺は一度自分の店に帰った後、芽衣子に教えてもらった方角へ足を運んでいる。
…えっ?なんで一度店へ帰ったかって?
まあ、それにはちゃんとした意味があってのことだが…今ここでは話さないでおこう。
…そんなことは置いといて…今はあの車いすの女を見つけることが優先事項なわけだが…

 

「はぁ…やっぱり見つかるわけないか…そりゃそうだよな。どこの誰かも分からないんだしこんなの探しようがねーよ」

 

そう、やはり帰って行った方角だけを教えてもらっても彼女を探し当てることは不可能に近い。
ここらへんは住宅も少ないのでもしかしたらバッタリ会うかもしれないと思ったのだが…正直現実はそんなに甘くない。
てかなんで俺はこんなにあの女のことが気になってるのか自分でも不思議だった。
確かにあの女の顔が俺の好みだったのは事実だ。
だが…そんな不純な動機だけでこんなストーカーまがいの行動は起こさない。
自分が今行ってる行為が非常に気持ち悪いという自覚も普通にある。
これは恋愛感情という安っぽい理由などではない。
むしろあの女の人間性自体は俺の中で嫌いな部類に入る。

だが…なぜかあの女のことが俺は気になってしまう。
理由は分からない。
ただなんとなく…あの車いすに乗った謎の美女という、どこか『非現実的な存在』に興味を持ち始めてる自分がいるのだ。
こんなありきたりで退屈な日常しかないこの田舎町では、まずあんな存在に出くわすことはないだろう。
オトナになりたくないと願う中二病をこじらせた俺にとっては昨日から彼女に対する好奇な気持ちが収まりつかない。
だから…仲良くなりたいわけではないが、もう一度あの女に会ってみたい。
その願望だけが俺の中にあるのは確かな事実だったのだ。
…とはいうもの…だ。

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「あーーーーーー!!バカらしい!なんで俺はこんなアホなことやってんだ!?こんなことやってもあの女に会えるはずねーじゃねーか!?てか見ず知らずの女を探してるとかマジキモイっつうの!」

 

熱さでイラついてた俺はついに自分の好奇心よりも苛立ちが勝ってしまい、一人わめきながら道路に尻をついて座り込んでしまった。

 

「…はぁ…バカらしい。なんだってこんな場所に来ちまったんだろ。元々町役場の図書館で1日涼もうとしてただけだったのに…マジ無駄な労力じゃねーか。…仕方ねぇ。引き返してさっさと図書館にでも行ってのんびり寝よ」

 

そういってあきらめた俺は重い腰を上げ、元来た道を引き返していく。

 

-トラクターの音-

 

「…ん?」

 

ちょうど俺が引き返そうとしていた所に、一台の農作用のトラクターが数十メートル先から走ってきていた。
俺はそのトラクターを避けるために道の端っこに寄り、やり過ごそうとしたが…

 

「よぉ!おめー商店街のスーパーのせがれじゃねーか!」
「…へっ?」

 

ちょうど俺が横を通り過ぎようとした時に…そのトラクターの50代くらいのねじりハチマキをしたおじさん運転手が俺に対し声をかけて来たのだった。

 

「なんだおめー!また仕事もしねーで昼間に外ほっつき歩いてんのか?かーーー!今時の若造がそんなんじゃだめだ!!ちゃんと働け!」
「…ハハハ…今日はたまたま仕事が休みだっただけっすよ」
「嘘こけ!町内会の寄合でおめーの母ちゃんが『ウチの子ロクに働かないで家でゴロゴロしてるんです』って言ってたぞ!あんな美人な母ちゃんに心配かけるとは何事だ、このバカたれ!」

 

じゃあブスな母ちゃんだったら心配かけてもいいのかよ…と俺は心の中で屁理屈をごねながら不満そうな顔をする。
しかも今日が仕事休みという日なのは事実だし…ま、仕事休みの方が多いってだけなんだけどな。
大体俺はこのおっさんのことは顔見知り程度の仲ではあるが、正直こんなに話し込むような仲ではない。
芽衣子もそうだが、田舎の人間はいつもこうやって余計なお節介を焼いてくる。
正直ウザいし、他人様の家庭に余計な首を突っ込むなとさえ思っているのだが…田舎の住人はそれを許してはくれない。
ご近所さんはみな友達だとでも思っているのだろうか?
こういうのがあるからあまり出歩きたくないんだ。
まさか家でも外でもこんな小言を聞く羽目になるとは…
ま、いいや。どうせこんなお節介焼きは適当に流せばその内どっかへ行くだろう。

 

「…そういや美人と言えば、つい昨日のことなんだけどよ…」
「はいはい…なんですか?」
「いやぁそれがよぉ、ウチの隣に若そうな美人のねーちゃんが昨日引っ越してきたんだよ!」
「…えっ!?」

 

俺は少し食い気味におじさんの口から出た『若そうな美人の女性』というワードに反応した。

「お?なんだ?おめーも美人に弱いのか?そりゃぁ男なら美人にはよえーよな?これも男のサガってやつよぉ」
「…え、いや…ま、まあそうですね?」
「なんか家族でこの町に引っ越してきたって言うから昨日引っ越しそばをもらってよ!そん時にそのねーちゃんも見たんだけど、足を悪くしちまったのか車いすに乗ってたな。俺も少し気になったんだけどさすがに車いすに乗ってる理由は聞けねーと思って様子見てたんだけど、ありゃぁ相当な美人さんだな!そりゃ芸能界にでもいたのかってくらいによぉ…」

「おじさん…」
「…へっ?」

「おじさんの家…どこにありましたっけ?」

つづく


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  1. なかなか車イス美人に再開できないですね。

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