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見つかった女 -第6話-【ピーターパン症候群の男と車いすの女】

投稿日:

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-古い家屋の前で立ち止まる栄太-

「…ここがあのおっさんの家ってことは…あっちの隣の家があの女の家か?」

俺はトラクターに乗ったおっさんに家の場所を教えてもらい、商店街からおよそ15分ほど離れた場所までやってきた。
おっさんの家はおよそ築50年以上は経っているであろう木造づくりの古民家だった。
よくこんなご時世でこんな家に住めるもんだと俺は逆に関心していたが…まあ俺の自宅兼店もそこそこ年季の入った家屋だということを考えるとあまり人のことを言えた立場ではないだろう。

いやいや、用があるのはこのおっさんの家ではない。
このおっさんの家から20メートルほど離れた隣の一軒家に用があるのだ。
そんなに距離が離れているのに隣と呼んでもいいモノなのか分からんが、それ以外の建物はこの周辺では目視で確認できないほど辺鄙な土地なため、田舎民はこの距離でも『隣の家』と表現をする。
場合によっては100メートル先の家まで隣と言ってしまう田舎者までいるのだが…。

まあ、それはいいとして…
あのおっさんの情報によると、どうやらあの女の家は20メートル先に見える少し真新しい白いレンガ調の一軒家になるらしい。
周りに広がるのは畑や田んぼ、その家の裏には野山が広がっているため、正直その白いレンガ調の家が周辺の環境とマッチしていない気がする…。

玄関口には階段はなく、車いすでもすんなり入れるようにおそらく後付けで作られたであろう、緩やかな傾斜の台が設置されたバリアフリーの作りとなっている。
その玄関口のつくりを見ると…おそらくこの家があの車いすの女の家だということはほぼほぼ間違いないだろう。
ただ新築ではない所を見ると以前の住人が家を建てたがなんらかの事情により、不動産に売りに出した物件の所にあの女の家族が引っ越してきたのだと予測ができる。
でも…それでもこんな辺鄙な土地に越してくる心境は理解ができんがな。
しかもよりにもよってこんな町の商店街から離れてる場所に家を借りるなんて不便で仕方ないだろう。

 

「………」

 

-歩く音-

そんなお節介なことを考えながら俺はおっさんの家を離れ、彼女の家まで足を運び、目の前まで来てみた。
こう言っちゃなんだが…相手の住所を特定しようとする俺もおかしいが、それをすんなり教えてくれるあのおっさんはもっとおかしいと思う。
一応顔見知りということもあったが、田舎町にはプライバシーというモノが存在しないのか?
これが田舎の時代錯誤の信頼関係というものなのか?
それとも俺の住んでる地域がおかしいだけなのか?
…ま、その件に関してはひとまず置いといて…俺は相手の家が分かった所で重大なことに気づいてしまった。

 

「…さて…一応来てみたはいいが…どうすっかな…」

 

そう、俺は相手の住所を突き止めたところで特に家を訪ねるつもりでもなく、何か用があるわけでもない。
しかもあの女も俺に住所を知られたくなかったっぽいし…
一応ここまで来たアリバイは用意しておいたが…多分出くわした所で俺がここを突き止めた時点でかなり変人扱いされて怒られるだけだろうな。

 

「…まあ、いいや。なんか 変な好奇心にあてられてストーカーまがいなことしちまったけど…特別な感情があるわけでもないし、何か話したかったわけでもないし…このまま何もせず帰るか」
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俺は自分の愚かな行為を多少反省しながら来た道を引き返す。
一体俺は何がしたかったのか分からんが…こんな若気の至りみたいな気持ち悪い行動はもう二度としないようにしよう。
オトナだろうが子供だろうがこんなストーカーまがいなことをしてたら人間性を疑われてこの町で変な噂を立てられるかもしれんし…。

 

-金属が倒れるような大きな音-

「…ん?なんだこの音は?」

 

突然大きな金属が倒れるような音がしたため俺は周囲を見渡した。
しかし周辺を見渡しても特に何か変化は感じられない。
確かに音は聞こえたはずなのだが…しかも音量的にはかなり近い場所から聞こえたような気がする。
不思議に思った俺はその場を移動し、敷地内に入らないように少しだけあの女の家の周りを探してみると…

 

「…あれ?…あれは」

 

周辺を散策した結果、一軒家の裏庭に倒れた車いすとその近くで倒れている女性のような人影が見えたのであった。

 

「…えっ!?人が倒れてる!?」

 

-駆け寄る音-

 

俺はその光景を見て、一目散にその裏庭を目指して走っていく。
家の周辺には囲いもなかっ  たため楽に入ることはできた。
他人の敷地内に入るのは少々気が引けるが…今はそんなことを言っている場合ではない。
そして俺はその女性に駆け寄り声をかける。

 

「だ、大丈夫ですか!?どこかケガでもしたんですか!?」
「…だ、大丈夫です。ちょっと転んだだけだし…いたっ!?」

 

近くに寄って容姿を確認したところ、倒れていた女性はやはり昨日俺の店に来た車いすに乗った女だった。
彼女は派手に転んだせいか白いワンピースの服は土で汚れ、肘の部分には大きな擦り傷ができていた。

 

「うわっ!?めっちゃケガしてるじゃないっすか!?きゅ、救急箱とかないんですか!?」
「本当に大丈夫ですから!ほっといてください!!…って…あれ?」

「……あんた…なんでここにいるのよ?」

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執筆者:


  1. 匿名 より:

    ここから何が起こるか、ワクワクします!

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